経験は力
- 智子先生のブログ
40代の女性の患者さん。
一人娘が、県外の大学に行くので、送り出してきた・・・という人がいました。
「今、することがないんですよ。これからどうしたらいいか・・・」
と言われます。
「そうなんですよ。私も経験しました。」
娘を送り出すまで
食事や洗濯や、お弁当作り、塾の送り迎え、時には一緒にショッピングに行ったり、母子で話したり。
大学入学が決まってからは新しいお部屋を借りて、引越ししたり、手続きしたり・・・喜びも悲しみも一緒。
自分の生活全ては子供中心。
って、バー様の経験です。笑
それが、その娘がいなくなると・・・
とたんに自分の役割が見いだせなくなる。存在意義がなくなる。
娘さんの立場からしたら、
最初こそ少し寂しいが、今までの親の縛りから解き放たれて、自由を満喫し、新しい自立した自分を見つけていく。
これって楽しいですよね。大空に羽ばたく感じ!?
親は寂しくても娘の人生の門出を祝福してあげないとね。
親と子の共依存の関係をやめて、親こそ、自分を見つめ直して、自分の人生をしっかり歩んでいかなくては。
親子の間に新しい境界線がうまれる。子供は子供、親は親。
今まで一つの道を一緒に歩んできたけれど、これからはそれぞれの道。(キャンディーズの微笑み返しですね)
今がその分岐点!
分かれには痛みがつきものだけど、その先にはそれぞれの役目があり希望がある。
バー様は心に区切りをつけるために、まず、子供部屋を何か物につかれたように、必死で片付けたな。
いろんな物を捨てて、子供部屋を空っぽにして・・・
その空洞の空間を見て・・・ああ、もう子供はここにはいないんだ!と、自分を納得させました。(視覚に訴えることは効果大)
バー様には幸いにして仕事があった。
多少寂しくても、仕事すると忘れることができる。
それにジー様がいる。
ほんと、こんな時、伴侶と言う物は役に立つ。日頃はうっとおしく思っていても。笑
「それにね、」と、さっきの患者さんとの話が続きます。
バー様は言います。
「彼氏でもできてごらんよ。ますます母親から離れていくよ。覚悟しておいてね!」
どんどん加速するように母親のバー様から離れていく娘。
東京に、就職が決まった娘に会いに行った時。(大学卒業後、地元に帰ってくるかもと、密かに期待していた親の思いに反して)
「ああ、娘はもう決してうちには帰ってこないんだ!」と、
帰りの、羽田行きリムジンバスの中でとめどもなく涙が出ました。
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でも、この涙を流すことは心理学的にもとても有効です。
流されない涙は後々問題を大きくして出てくる。と言われます。
心に整理をつけて・・・
三人の子供達を結婚させ、
そして、親たちをみ送り・・・
今度は息子が継承のために、宮崎に帰ってきた。(家は別です)
それはそれで、とてもうれしくありがたいことだけど、継承の寂しさや、種々の問題も出てくる。
ずっと、自分の行くべき道は、この道なのかと、これでいいのかと自問自答しながら、今があります。
人生って、ずっと修行。自分のことだけど、
母親として、嫁として、娘として、姑として、継承のこと、等・・・
その時その時、問題が出てくる。エンドレス。これで終わりって事は無い。
人から聞いてはいたが、実際に経験してみないと、ホント、わからない。経験してみて初めてわかる。
経験は力!!!!こんな強い武器はない。
だからね、お年寄りは、その存在だけですごいんですよ!
自分たちが経験していないことを実際に経験された。それだけで尊敬に値する。
で、皆さんもこの前期高齢者のバー様に・・・優しくしてね!へへへ・・・