うちの経営理念
- 智子先生のブログ
若い頃、大学病院で働いていたとき、最先端のことを勉強してきたと思っていた。
だから、当時、一般開業医の先生の治療を見たとき、ますます自信を持ったものだ。大笑
そして、実際に自分たちが開業してみて、
沢山の症例に当たると、全然習ったとおりにならないことばかり。
こんなはずではなかったと戸惑う。
例えば、大学病院だったら、絶対に抜歯していたであろう歯を、患者さんが残してくれと言う。
よくよく話しあって、それでは残しましょう!となると、とても理想的な治療はできない。理想とはかけ離れている。
これをもし、大学病院の歯科医が診たら、一笑されるであろう。
でも、これが一般歯科ではよくあること。
そんなことを経験して、それこそ清濁あわせもつ懐の深い歯科医として成長していくのだと思う。
だから、うちに見えた、患者さんで、前の先生からこんなことされた、あんなことされた・・・と、
言われることがあるが、診てみるとなるほど変な歯。
でも、よく診て、よく考えてみると、ああ、この歯を持たそうとして、とか、患者さんから、とにかく前歯だけ入れたいと言われたから、こんな設計にしてあるんだな。とか、前医の思いがわかるようになる。
また、前の先生から悪くない歯を抜かれた!と言う人もいるが、それはどうしても抜かねばならぬ歯であったであろうと、想像される。
だから、どうせかかるなら、信頼してかかられるといいと思う。
ご縁があって自分でそこを選んだんだから。
どの先生も患者さんに喜んでもらいたいからこその治療。
お任せしてくれると、こちらとしても持っている力以上のものを発揮できる。
相性というものがあるから、もし、合わないと思ったら転医する。
数年前、講演会で会った若い血気盛んな男性歯科医(うちの息子よりちょっと歳上)。
仲良くなって、一緒にご飯食べて色々話した。
彼は、お父さんと二人で歯科医院を経営している。(県外)
その彼が言った。「父の治療は酷くて、あれは犯罪ですよ!」
理想的な治療をしないお父さんを酷評していた。
しかし理想的な治療ではないと言うだけで頭から否定するのはおかしいと思いながら話を聞いていた。
私が言った。「でも、患者さんは見えるんでしょう?」
「そうなんですよ。喜んでくるんですよ!患者さんがかわいそうですよ!」と、不満そうに言う若い歯科医。
本当にかわいそうかしら?患者さんが喜んで見えるんだったらそれでいいよ。
彼の、理想を追求したい情熱をとても素晴らしいと思いながら、また、それを父上に押しつけなくていいのに。という思いでみていた。
医術は年々すごい速さで進歩していく。
若い歯科医は年配の歯科医の治療を下に見がちであるけれど、何十年も違えば、根本的な考え方も違うし、習ったことも違う。
若い歯科医の知識や技術は、その先輩方の治療を地盤として成り立っているわけだから、
古い治療と馬鹿にしてはいけない。
地味な治療でも生き残っているものはそれなりの正当性があるんですよ。決して間違いじゃないです。
そもそも、いい治療ってなんだろう?
教科書に載っているような完璧な治療?
完璧にでなくとも、小さい子供だったら、歯科医院に慣れるための治療、歯科って怖くない、楽しいと思えるような。
お年を召した方なら、とにかく早く咬めるようにして、あとから、ゆっくりできる範囲で、一本一本を治療していく、
とか、その方、その方の背景にあるもの、心、等、いろんなものを全部ひっくるめての治療が一番だと思う。
うちの経営理念
「歯科を通してより健康に、より美しく、より生き生きと!」
これは私が作ったものだけど、マジ、これにつきると思う。